第4回 興福寺南円堂の藤を描く
【用意するもの】
スケッチブック(F4)、鉛筆(B2)、消しゴム、水彩絵の具、筆(大・中・小)、水入れ、ティッシュ、ペン画用耐水性のペン(0.3〜0.5)
1.広い風景を小さな画面に写生するので、初心者は大きく描いてしまいがち。今回は縦長の長方形に描く。描きたい対象物の南円堂、藤、お地蔵様だけを描き、あとは省略することにする。
2.基準線(縦の線)を引く。
3.目安線(横の線)を引く。
4.南円堂、藤、お地蔵様のあたりをつける。
1.枠、基準線を消す。
2.建物は上から描く。
3.屋根は見上げているので、鬼瓦などはしっかり描かない。
4.見上げているので軒が広く見えるが、細かく描かない。仕上げに影を入れる。
5.藤は、手前から描く。
6.花は枝に沿ってているように描く。花の流れや後ろの花は、あとで彩色で表現する。
7.右側からスケッチしているので、お地蔵様、灯籠は右側面を描く。
8.石垣は右側面に線を強く入れる。
9.屋根の上、軒の下、欄干の先、葉隠れ下の幹など、ポイントになるところは、強い線を入れると絵にメリハリが出る。
○ 水彩画は、下に塗った色の上に違う色を塗り、下の絵がほのかに上の色に含まれることで雰囲気が出る。
○ 全体を、水分を多く含んだ薄い色で色分けし、イメージをつかむ。
○ 量感を出すために、色を塗るのではなく、色を乗せる感じで。
○ 3色以上混ぜない。混ぜると色がにごる。
○ 今回は全体のイメージをつかむため影から入れ、あとから鮮やかな色を入れる。
1.お地蔵様の後ろの影は空間を考えて入れる。
2.南円堂の軒の影は、光の当たり方を考慮して入れる。
3.藤の樹木の影を入れる。
4.南円堂の宝珠、風鐸、お地蔵様の前掛けなど、仕上げまで鮮やかな色を残したい色を先に入れる。
5.主役となる藤の花には、他の花と区別するため濃い色を入れる。
6.幹には最初から茶色を入れない。色を重ねるうちに茶色系統になる。幹に空の色を入れると、梢が空にとけ込むように見える。
7.手水の水は、あふれるように色をたっぷり入れる。
8.南円堂の欄干は建物の前にあるので、先に色を入れる。
9.お地蔵様の花に色を入れる。
○ 仕上げの色を入れ、物語性を画面に入れる。
1.雲が飛んでいるように、素早く筆を運ぶ。
2.画面を引き締めるため、藤と南円堂の間に、省略していた樹木を描く。
3.南円堂の柱、扉、垂木に色を入れる。
4.斜面の芝の色は、土が盛り上がって見えるよう筆を運ぶ。
5.描かれていない藤の梢、葉、後方の藤の花を、色で入れる。
6.藤が風になびくように、細い筆に淡い色を乗せ、リズミカルに描く。
7.石垣は苔の色を入れると趣が出る。
8.地面に水の色を入れ、水打ちされた雰囲気を出す。
9.南円堂に、深い影を入れる。
10.完成したら、全体のバランスを考え、落款かサインを入れる。