第2回 大池から雪の東大寺を描く
【用意するもの】
スケッチブック(F4)、鉛筆(B2)、消しゴム、水彩絵の具、筆(大・中・小)、水入れ、ティッシュ、ペン画用耐水性のペン(0.3〜0.5)
1.広い風景を小さな紙面に写生するので、初心者は大きく描いてしまいがち。スケッチブックに描きたい形(長方形、正方形)の枠をとる。
2.横の線、目線(目の高さより90cm上の高さ)を引く。縦の線、基準線を引く。高さの目安になる。
3.目の高さに目線(水平線)を引く。目線は地面から90cmぐらいの高さ。歩道は目線の高さを思って良い。
1.今回は素早く描くことが目的なので、一筆書きの手法を使う。中央の縦線は基準にせず、目の前の街灯を基準にする。
2.枠線のどこからどこまで描けるかを考え、東大寺の大きさのあたり(見当)をつける薄い線を描く(あたりをつけずに東大寺から描き始めると、画面一杯東大寺で埋まってしまうことがある)。
3.街灯から右、東大寺の方向に描き始める(あたりを付けるためで、詳しく描く必要はない)。ここで東大寺の大きさの見当がつく。
4.主役の東大寺の屋根から描き始める。この時点で周囲の風景で省略するものを決め、一筆書きのように次から次へと見たまま鉛筆を進める(一つずつ独立して描くと狂いが生じる)。
1.建物は上から描く。
2.遠景の山は薄い線で稜線を描く。
3.遠景の樹木はひとかたまりとして輪郭線だけ描く。こんもりとした感じを出すのは色を入れる段階で。
4.中景の樹木はかたまりの中に枝を入れ、かたまりを分解するように描く。
5.水面、水面の陰、雲は彩色の際に筆のタッチを利用して表現。
6.近景の樹木は葉や枝を2、3カ所強調して描き、後は省略。幹は立体感を出す線を入れる。
7.建物の上、軒下などに強い線を入れ、線が単調にならないようにする。
8.樹木の根元、東大寺の基壇などは、見えなくとも土の上に存在するすることを念頭に置く。
9.枠を消す。仕上げを考え不必要な街灯も消す。
○ 水彩画は、下に塗った色の上に違う色を塗り、下の絵がほのかに上の色に含まれることで雰囲気が出る。
○ 全体を、水分を多く含んだ薄い色で色分けし、イメージをつかむ。
○ 量感を出すために、色を塗るのではなく、色を乗せる感じで。
○ 3色以上混ぜない。混ぜると色がにごる。
1.空は、たっぷり水を含んだ線で軽く色を乗せる。
2.水面に映る影を平筆で一段と薄い色で、短く縦に色を置く。
3.冬枯れの気はよく見ると芽吹いている。枝に水を多く含んだ色を乗せ、生乾きの状態で黄、茶、紫などの色を乗せる。
4.雲の白は紙面の白を使う。
5.東大寺の屋根、道、楠は白を残し、雪がかぶっているようにする。
1.樹木の重なりに明暗を付ける。葉隠れは暗くする。
2.東大寺の屋根の下や樹木の下に影を入れる(冬なので群青を使用)。
3.雪部もはたっぷりと水を含んだ筆で一気に描き、紙面を少々傾けた状態で乾かすと雰囲気が出る。
4.仕上げに遠景、中景を一つの群れとし、それぞれに水を多く含んだ薄い色を入れると調和がとれ、画面に物語性が生まれる。