第1回 浮見堂を描く
【用意するもの】
スケッチブック(F4)、鉛筆(B2)、消しゴム、水彩絵の具、筆(大・中・小)、水入れ、ティッシュ、ペン画用耐水性のペン(0.3〜0.5)
1.広い風景を小さな画面に写生するので、初心者は大きく描いてしまいがち。描きたい風景がスケッチブックにおさまるように、目安として枠を薄く描く。
2.画面の中央に基準線(垂直線)を引く。
3.目の高さに目線(水平線)を引く。目線は地面から90cmぐらいの高さ。歩道は目線の高さを思って良い。
4.縦の目安線を入れる。縦の目安線は、建物、街灯、電柱、木、壁など。
5.横の目安線を入れる。横の目安線は、建物の屋根、基台、窓など。
1.目安線をたよりにし、全体に大まかな輪郭線、あたりを入れる。
2.浮見堂を描く。中心線を引くと左右が狂わずに描ける。
3.浮見堂の大きさのバランスを見る。幅の寸法で各部分の大きさを決める。
4.主役(浮見堂)を描くことで、周囲の樹木の位置がはっきり分かる。
5.ここで左右に薄く線を引き、樹木などが正しく遠近になっているかチェックする。
1.枠、基準線を消す。
2.浮見堂を描く。この時点で、周囲の風景の中で省略するものを決める。建物は上から描く。
3.石垣は全部描かずに何カ所かだけ描く。空白は色で石垣に見えるようにする。
4.遠景の山は、薄い線で稜線を描く。
5. 遠景の樹木は、ひとつのかたまりとして輪郭線だけで描く。
6.中景の樹木は、かたまりの中に枝を入れる。
7.樹木の間隔は、遠くに行くほど狭くなる。
8.近景の樹木は、枝に葉むらがあるように描く。
1.水面の影は、輪郭がぼやけるように、薄い線で描く。
2.水面を波立たせる場合は、線を描くか、彩色の際に筆のタッチを利用して表現する。
3.人を入れて、建物の大きさを表現する。
4.雲の輪郭は、薄い線を描くか、彩色の際に筆のタッチを利用して表現する。速い線は雲の動きが出せる。
5.欄干は細かく描かない。
6.近景の樹木は、葉や花を2、3カ所強調して描き、後は省略する。幹には立体感を表す線を入れる。
7.樹木の根元、浮見堂の基台など見えない部分も、ちゃんと下に存在することを意識し、正しいバランスで描くようにする。
8.絵にメリハリをつけるため、建物の上、軒下、欄干の下に強い線を入れる。
○ 水彩画は、下に塗った色の上に違う色を塗り、下の絵がほのかに上の色に含まれることで雰囲気が出る。
○ 全体を、水分を多く含んだ薄い色で色分けし、イメージをつかむ。
○ 量感を出すために、色を塗るのではなく、色を乗せる感じで。
○ 3色以上混ぜない。混ぜると色がにごる。
1.空は、たっぷり水を含んだ筆で、軽く色を乗せる。
2.水面に映る建物、樹木は、薄い色を先に入れ、あとでブルー系を入れる。
3.花など、綺麗な色は先に入れる。葉や花の向きは、筆のタッチで表現する。
4.遠景の山は、淡い色で、尾根を描く様に筆を運ぶ。
5.遠景の山は、樹木のかたまりに、それぞれ淡い色を入れる。
6.人物の洋服などに、「きき色」を入れる。この段階で、書き込んでいないところが分かったら加筆する。
1.ところどころ、白の生地を残す(白色は、紙の白を利用する)。
2.樹木の重なりに、明暗をつける。葉は、筆のタッチを利用する。葉隠れは、暗くする。
3.浮見堂や樹木に影を入れ、存在感を出す。
4.仕上げに、遠景、中景をひとつの群れとして、それぞれに、水を多く含んだ同系色の色を入れ、調和をとる。
5.絵が完成したら、全体のバランスを考え、落款かサインを入れる。