メッセージ
長年努めた進学塾(希学園)での経験を生かし、受験生や将来受験するお子様をお持ちのお母様方の教育相談・子育てサポート、お母様方のネットワーク作りをしたいと考えています。
特に、子供が小学校4、5年の頃、親から自立し始める時に、親も子もパニックに陥る家庭が多いです。そうならないために、低学年の間に親が子供にどう接したらいいか、若いお母様方にお伝え出来ればと思っています。
今の母親が困っていること。
二十年来、お母様方の相談を受けてきましたが、マニュアル本を見てそのまま子供を育てる人の多さにびっくりします。昔はおばあちゃんがアドバイスをしたり手助けをしたものですが、今のおばあちゃんは、子育てに自信がない。自分の時代とは違いすぎるのです。昔は塾はない、ゲームはない、携帯はない…。そういうわけで、子育てが分からない母親は、誰にも助言を求められず、マニュアル本に頼ってしまいます。
けれども、マニュアル本通り教えるということは、子供に指示をするということ。勉強の仕方、朝起きたらどうする、こうすると、こと細かに指示をする。裕福な家庭で子供の数が少ない場合は、それが完璧なまでの指示になります。子供が小さい間はそれでも問題ありません。子供は素直に言うことを聞きますから成績も良い。
ところが4、5年生にもなると、子供に自我が芽生え、反抗し始めます。子供は、自分が何のために勉強しているのか分からない。なぜこんなに勉強させられているの分からない。親は子供の自立に気づきますが、その時にはなかなか心配で手放すことができない。手放すタイミングが分からない。また、手放そうとすると、子供は自分が見捨てられたと思い、反抗がさらに激しくなる。そこで親も子もパニックに陥ります。
そうならないために、子供が低学年のうちに是非伝えたいこと、親に知っておいてもらいたいことがあります。
親が知っておくべきこと、私が伝えたいこと。
勉強は、自分で考え自分で解決する力をつくるためにある。
勉強をするのは、いい点数をとるためでも、いい職業を得るためでもありません。勉強は、考える力をつくる、自分で考えて自分で解決する力をつくる、そのためにあります。算数も理科も、自分で考えて自分で解決する力を育てる手段です。そしてそれは、親の手を離れても子供が1人で生きていける力になります。
知識を得ると、ものを見るのが楽しくなる。
勉強して知識を増やすのは、いい学校に入るためにでも、いい職業に就くためでもありません。知識を得るということは、ものを見るのが楽しくなるということです。例えば、夜空を見るのでも、星座やギリシャ神話を知っているかいないかで全然違う。知らなければただ漫然と空を見ているだけ。知っていれば、ギリシャ神話を思い出したり色々想像して楽しい。星を見るのが楽しくなる。
私は絵を教えていますが、生徒は絵を習ってから見る目が変わった、風景が違って見えると言います。今まで素通りしていた風景、細部にも目が惹かれる。色の種類を知ると、同じ空でも一色ではないし、山の木がピンクだったりする。
知るということはいろんなことが見えて楽しいということ。いっぱい知っているということは楽しい。自分の世界が10倍も100倍も変わるかもしれない。親がまずそれを子供に伝える。子供が素直なうちに、親の言葉で、何度も何度も伝えていく。勉強すること、知識を増やすことが、自分にとって楽しいことだと思わせる。分からせる。そうすれば4、5年生で自我に芽生えても、少なくとも勉強につまずくことはない。そのためには、親がまず、知識を得るということはどういうことか、自覚しないといけません。
以上2つのことを、親に伝えられたら、そして親から子供に伝えることが出来たら、もうそれだけで十分です。根本的に伝えたいことはこの2つです。さらに付け加えるとするなら、
子供を育てるということはどういうことか。
それは、子供が1人で生きていけるようにすること。飢え死にしないで生きいけるようにすること。最終的に子供は1人で生きて行くのだということ、それを前提で子育てをしなければいけません。ところが親も子もずっと一緒に暮らして行くかのような育て方をしている親が、本当に多い。
愛情と過保護は紙一重。問題の原因は親にある。
子供を慈しんでいるヒンズー教の神様、水面に映っているのはガブガブと子供の頭を食べている姿。そんな話があります。親の愛情と過保護は紙一重。子供に良かれと思ったことが子供をダメにすることはよくあります。それを常に意識していないといけません。
また、子供というのはよくも悪くも親孝行で親が好き。カンニングするのも親のため。いたずらするのも親の気を引くため。子供の悪い行為もすべて親に原因があることを、親は自覚する必要があります。